現在、高齢者の人で血圧を下げる薬を飲んでいない人の方が少ないのではというくらいかなりの人が飲んでいるのが現状です。なぜこのようなことになっているかというと、それは高血圧症の基準値が130に下がったからという単純な理由からです。
1987年には上が180以上が高血圧症になっていましたが、2000年代に入ってどんどん下げられ、2008年からは130になりました。その結果、日本では少なくとも4000万人以上の人が高血圧ということでその大半が降圧剤を飲むことになりました。これだけ基準値が下げられた理由は色々言われていますが、血圧が高い人は脳卒中を始め、腎臓病や心筋梗塞など様々な病気のリスクが高いということで、その予防には血圧を下げないといけないとなったためです。
では基準値を下げた結果、本当に様々な病気のリスクは減ったのでしょうか。平均寿命は確かに延びていますし、脳溢血も減ってはいますが、健康寿命は全く延びていないというデータがあります。さらに言えば、認知症がかなり増え、要介護の人もどんどん増えていますし、癌に至ってはずっと右肩上がりに増え続けています。これはある程度高齢化が進んでいるので、仕方ない面はありますが、本当に人々が元気で長生きするうえで、このような極端な血圧のコントロールが有効なのでしょうか?実際に血圧の薬を飲んでいる高齢者に話を聞いていると、疑問に思いつつもとりあえず医者が言うのだからということで飲んでいる人が多いですし、飲まなくてもそんなに高くならないから勝手に止めている人、飲んだり飲まなかったりしている人など様々ですが、はっきり言えるのは、高齢者で130を基準にするのはどう考えてもおかしいということです。これは普通に考えてみれば分かることですが、歳をとると血管が硬くなりますから血圧を上げないと全身に血を巡らすことができなくなるのです。血圧をコントロールすると確かに心臓はそれほど頑張らなくて済むようになるので、寿命は延びることでしょう。しかし、それによって脳や内臓に必要な血流量が不足し、余計な病気を増やしている側面があるのです。
よく血圧の数値が少し高いと心配して何度も測り直したりしている人を見るとかわいそうだなと思います。その過度な心配によってストレスになり余計に自律神経を狂わせ、末端の血管も縮こまり、さらに血圧が上がるという悪循環になっているからです。ここまで皆が血圧を気にするようになっても病気は減るどころか増える一方ですし、薬も増える一方。動脈硬化の大きな要因になっている糖尿病は推計1,000万人、癌で亡くなる人は30万人以上、うつ病は推定120万人、どう考えても食事や社会生活に問題があるのは明白です。血圧の基準値を下げれば薬は売れますから、製薬会社も医療機関もいいのでしょうが、なぜ加工食品に含まれている無駄な添加物や砂糖などについて医師や研究機関はもっと声を上げないのでしょうか。(実際に鍼灸治療をはじめ、食事や温浴、運動など様々な方法で血圧を下げることが可能ですし、それを患者さんに指導しているお医者さんも沢山います)もはや多くの人が気づいている通り資本主義の世の中なので、そんなことを言ってもしょうがないですから、個人個人が何を選択し、どう生きていくかをよく考えていくしかないでしょう。
コロナ禍になりウイルスや感染症、ワクチンに至るまで様々な情報が錯そうし、明らかにおかしな情報も入り交じり、何を信じていいかわからなくなっている人も多いと思いますが、一番の目安は今も昔も自分の心に照らし合わせることではないしょうか。つまり腑に落ちるかどうか。不安や恐怖だけを煽るようなものは、それが誰の発信であれ信じるに及ばないものだと思っています。科学的根拠に基づいて判断すべきだとよく聞いたと思いますが、様々な研究や論文がある中で、自分の都合のいい論拠だけを上げて説明している人も専門家の中には多いですし、例え有名な科学雑誌に載った論文でも十年後には9割が否定されているというのが科学の実情としてあるので、それを頼みの綱とするにはあまりに頼りないと言えます。ですから、自分の本心に問うということを常日ごろからやっておくことが非常時にも大変役立つと思います。最後の最後は自分ということです。