とてもいい本に出逢ったのでご紹介したいと思います。
タイトルは「リト」(山元加津子著)。主人公はリトという名前の犬で、ファンタジーものです。扱っているテーマは「大いなるもの」や「魂」なんですが、子供にも何となく伝わるような平易な文章で書かれています。
すごくシンプルなストーリーですが、リトの発する言葉が一々ぐっと入ってきて、「そうなんだよ!」って心の中で叫んでしまいました。心の中というのは魂と繋がっているので、魂に響いたっていう感じです。この本は去年刊行されたもので、まさに新型コロナウイルスが広がっている中で出てきたものです。この数年は特にそうですが、本当の意味で自立するというか、自分の生き方や自分が何をしにここに来たのかを真剣に考える人が増えている気がします。そしてこのような全世界を巻き込むような非常時になり、さらに自分とは、人生とは何かを問い直す人が増えています。
いろんな情報が溢れ、国やメディアの欺瞞や嘘が見抜かれるようになってくると、本当の意味で自立できていない人はますます不安に苛まれ、正解や正解らしきものを提供してくれそうな人に頼ろうとしてしまいます。本来そんなものはなく、あるのは自分の中にある「本心」だけなんです。自分は何をしたいのか、本当はどうしたいのか。人それぞれ表現や形は違うはずです。コロナ禍に限らず、病気や将来の不安などで心を病んでいる人は、残念ながら日本ではとても沢山おられます。不安や怖れは打ち消したり、安易な方法でごまかしたりしても消えません。心の奥底から湧いてくる「自分はどうしたいのか、何をしにここに来たのか」を真剣に見つめることができれば、勇気も出てくるでしょうし、前に進む力も湧いてきます。怖さや不安は誰でもあるもので、それを持ったまま進むしかないのです。そういうことをこの本では感じとれると思いますので、興味がわいた方はぜひ読んでいただけたらと思います。