冷え性の人の状態は東洋医学的には色々考えられますが、大まかには血が停滞、不足している場合と水が停滞、不足している場合、血も水も停滞、不足している場合があります。血は肝臓と水は腎臓と基本的には関係していますが、血や水を作るのは脾臓や胃と関係していて、さらに血や水の循環には肺や心臓が関係してくるため、細かく診ていくと複雑になっていきます。そこで脈や舌、お腹や背中の状態など全体を細かく観察、診断して血を作ることができないのか、運ぶ力が弱いのか、水が多くて血が薄まっているのかなどなど原因を探っていきます。そして治療の中心となる内臓に対して手足や背中のツボを使って働きをよくしていくわけです。
女性の冷え性➀のところで、骨盤の中の臓器つまり子宮や卵巣、腸などの状態と関係が深いと書きましたが、東洋医学では生殖器の働きは基本的に腎臓と関係があり、また血をたくさん必要とする臓器なので肝臓とも深く関わってきます。ですからまずは五臓を中心に整えていくことが生殖器を正常に活動させることにつながるのです。細かな診断や治療は治療家の役割ですが、ではご自身では何に気をつければよいかということになると、やはり原因を見極めたうえで対策をしていくことが重要なのですが、ここでは多くの人に当てはまることだけお話しておきます。
節度のある食事 お腹が空いてから食べる(例えば3食食べたい人は食べる時間帯にお腹が空くような量を食べる)。空腹時間を長くとる(これに関しては最近よく本が売れていますのでそちらを参考にしてみてください)。これは昔から健康長寿の秘訣として語られている通りで、粗食は運気をも変えて人生をよくすると喝破する観相(人相学)の大家もいました。空腹時に内臓も脳も活発になるのは大体の人は気づいていると思います。
砂糖はできるだけ摂らない 何か一つを悪だと狙い撃ちにするのは嫌なのですが、ほとんどの人が摂りすぎで色んな病気や不調の原因になっているのは明白な上に、余りにも砂糖まみれの食品事情がありますので、このことを意識するだけでもかなり違ってきます。とは言え、やはり美味しいものは食べたいので一日にこれだけはと決めたり、週一回美味しいスイーツを食べるとか自分なりに工夫するといいと思います。またスポーツ選手やクラブ活動をやっている学生さんなどはある程度糖分が必要ですので、適度に摂ってもらうとよいです。
あとは当たり前のことですが、しっかり歩いたり運動をしたりして汗をかく。平坦な道をとぼとぼ歩いてもほとんど運動にはならないので土手や山など起伏のある道を歩くのがよいです。これは足首をしっかり使うことと股関節を外旋することにもなるので、内股しかできない女性には非常に重要です。もう一つ付け加えると深くしゃがむ動作を一日に何回かすることです。これも足首と股関節の動きに関係しています。踵を付いてしゃがむことができない人がとても増えています。スポーツをやっている人でもできない人が結構いるくらいですから驚きですが、これは冷え性にも関係してきますし、腰痛や膝の痛みにも関係してくるのでこれくらいは簡単にできるように日ごろからやっておいてもらいたいと思います。
次は冷え性対策の「足湯」について詳しく書こうと思います。