85歳になるお婆さんで、5年くらい診ている方です。今まで何回か危ないかなと思う状況があったが、その都度回復されてきた。
4月18日に治療をした時、胃が動いていない、血が不足していると感じた。食欲は最近落ちているということを息子さんから聞いた。この二回ほど治療後の口数も少なくなっているのは気になっていた。
いつものように状態に合わせて鍼と灸を行い、迎えに来た息子さんにも状態を伝えてその日は終了。
5月2日は息子さんの治療の日で、そこでお母さんのこの2週間の状況を聞いた。すると前回の治療の1週間後に車の中で血をコップ一杯ほど吐き、黒っぽい血の塊が出てきた。そして病院に行き、胃潰瘍との診断で高齢ということもあり数日入院された。そして退院後は以前より食欲も出て、元気になってよくしゃべるようになったと報告を受けた。
5月16日にお婆さんの治療を行った。確かに元気になっており、お腹の動きも出ているし、胃部の硬さも取れている。脈もしっかりしている。
心臓も悪く、以前は喘息もよくでていて、かなり見た目は弱っておられたが、胃潰瘍になることも、血の塊を吐き出せたこともまだまだ体の力というか生命力があったからであろう。それを少し鍼灸によって後押しできたのかもしれないが、まだそういう時期じゃなかったということなんだと思った。
基本的には、「出るものすべて善し」というスタンスで日々患者さんに接している。特に瞑眩(めんげん)現象と言って、黒っぽい血の塊など見た目にいかにも”毒”っぽいものが排出されるとたいがいは好転していく。鍼灸や整体などの治療をやっているとよくあることだが、ここまではっきりしたものでなくても、人の体は常にいらないものを排出することで体を維持している。現代は余分なものを取り込みすぎ、かつ余分なものを排泄しきれない人が病気になっている。それは昔も今もこれからも変わらないであろうが、その一番の基本を現代医学や今の医療は忘れてしまっているようだ。
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